2012.2.2(木)  Story  038

隼人と付き合ってからも、詩織と眞紀の交流は続いていた。

高校も同じなら軽音部も同じだったので、
2人の接点は中学の頃より増えてしまった。
ギターを弾く隼人に感化されて、詩織は軽音部に入ろうと決めたのだろう。

そう思うと、眞紀は詩織とどう接していいのかわからなかった。

詩織も初めのうちは同じ中学出身の眞紀を頼りにしていたが、

彼のそっけない態度や、ときたま見せる嫌味っぽい
             仕草にだんだん戸惑うようになった。
       詩織も、眞紀の気持ちに気づいていないわけではなかった。

その上で隼人と付き合ったのだ。

だから、彼の取る態度を邪険には出来なかった。

そばに居れば話しかけたり何かと気を遣った。
               それは隼人も同じだった。

詩織への気持ちを眞紀に伝えてからも、しばしば眞紀と連絡を取っていた。

こんなことで自分たちの友情を崩したくないと思ったのだ。
連絡を取りあいはするものの、高校に進学してから隼人と眞紀が
二人だけで遊んだのは3度だった。

それ以外は共通の先輩と一緒だったり、
ライブハウスで顔を合わすくらいだった。
             最後に遊んだのは高校3年生の5月だ。
「予定がある」
        いつもそう言って隼人からの誘いを断り続けていたが、

「時間は合わせるからたまには付き合えよ」 と言われてしまい、

眞紀もしぶしぶ時間を作ることにした。

 高校に入っても遊ぶ場所は変わらない。

本通りのゲームセンター前で会って、ギターのゲームをした。

それに飽きればコンビニでアイスを買って公園に行った。

「お前、元気にしてんの」

      隼人はクレープのアイスを片手に持って眞紀を見やった。

「おう、どう見ても元気だろ」

「まあそうだな。なんか、ギター上手くなったな」

「ゲームのギターだけはな」

     棒アイスをかじりながらそう言い返した眞紀だが、
        実際は軽音部の中でも群を抜いてギターが上手かった。

「いいよな、お前」

「あ、なにが」

「ギター上手くて、そこそこカッコいいし、モテんじゃね」

「んなこと、ねーよ」

         眞紀のこめかみが動いたのを、隼人は見逃さなかった。

あわてて繕おうとして次の言葉をさがした。

「好きな子とか、いねーの」

「別に」

        完全にしくじった、と思った。目が宙を泳ぐ。

自分が詩織と付き合ったことで眞紀がどんな気持ちだったのか、
想像するだけでいたたまれなくなる。

けれども、自分がそれを口にしてしまうと、
眞紀は本当に気持ちのやり場がなくなってしまうではないか。

それすらも言い訳かもしれないと思いながら、
なんとなく詩織を話題にするのは避けていた。
    (眞紀がほかに好きな人でも出来て、幸せになればなぁ……)

 と罪悪感から逃れることばかり考えている自分が嫌になるのだった。

いっぽう眞紀は、

(5月と10月の夕方って、なんとなく似ているな)
と、ぼんやり思っていた。

隼人がこれ以上むだな話をしないように目を反らし、アイスを食べた。

 それからも眞紀は、のらりくらりと2人の気遣いをかわしながら高校生活を
過ごしていた。隼人と詩織は、高校の3年間をそのまま付き合い続けた。

 卒業式の1週間後のことだった。

眞紀がイヤホンをしてギターの練習をしていると、楽譜の横に置いていた携帯電話が光った。
詩織からの着信だった。時計は25時をさしている。

同じ部活なのでいろいろ連絡を取り合うことはあったが、
こんな時間に電話をかけてくるのは珍しかった。

                つづく・・・・  (2月9日 更新予定)

原作   しおん真未
      高田 環央
      長岡 英里
      早川 未来

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい)

不動院大学1年生。現代文化学部言語文化学科。
大学に入ってサークル、バンド活動はしていないが、ライブハウスでアルバイトをしている。


(なつかわ じゅんた)

不動院大学1年生。短期学部幼児教育学科。
教育系の職に就くため短大の方へ。
相変わらずサッカーを続けている(ポジションはMF)。
忙しくてユイにかまうことができない。

2011 夏編
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35周年 秋編
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35周年 恋夜空編
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開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12