2010.1.7(木)  S t o r y : 23

 准汰がよびかけ、ユイが振り返る。

「あ、夏川君! わわっ」

 よほどびっくりしたのか、ユイは振り返った拍子に
バランスをくずし、尻もちをついている。

おきあがろうとするユイに手をかしながら、

「なにやってるんだ。その子は妹?」

「あ、違うの。この子、奈々ちゃんっていうんだけど。
                どうやら迷子らしくって」

 少女はとつぜん現れた准汰を警戒するように、
ユイの陰にかくれ、不安そうな顔をしている。
でも准汰の登場で泣き止んでしまった。 

 ユイはこれまでのいきさつを准汰に説明した。といっても
この泣きじゃくる少女からは奈々という名前だけしか聞き出せていなかった。

「警察には?」

「まだ届けてないの。それに……」

 ユイはちらりと奈々のほうを見る。
警察という言葉が出たとたん、奈々はユイの腕にすがり、
いやいやをした。

「またわたし以外の知らない人に預けられるのが、嫌みたい」

「そっか。うーん、困ったな」

 准汰はどうしたものかと思案する。泣き止んではいるが、
ときおり嗚咽がもれている。
その不安そうな顔を見ているうち、准汰にある考えが浮かんだ。
准汰は膝をつき、奈々を真正面から見すえた。
そしてすーっと息を吸い込むと、

「奈々ちゃんこんにちは。ぼくはこのお姉ちゃんのお友だちで、
准汰っていうんだ。よろしくね」

 そう言って手を差し出す。奈々はユイの背に隠れたが、
准汰は笑ったまま、手を引っ込めないでいた。
しばらくそうしていると、おそるおそる顔を出した奈々が、
そっと准汰の手を握り返した。

「奈々ちゃん安心して。お兄ちゃんが、奈々ちゃんの家族を
     一緒に探してあげるよ」

「えっ!」

 思わずユイが声をあげる。いっぽう奈々は、

「ほんと?」と首をかたむけ、
         ようやく明るい表情を見せた。

「もちろんほんとだよ」

 准汰も笑ってそれに答える。

「夏川くん、大丈夫なの? やっぱり警察に届けたほうが…」

「警察はだめだよ。奈々ちゃんが嫌がってるんだから。
 まずぼくたちが親を探して、それでも見つからなかったら、
   警察につれていく事にしよう。
       そのときは奈々ちゃんを納得させるから」

「うん、わかった」

 ユイは納得した。

「奈々ちゃんは今日、誰とここに来たの? 
            ぼくに教えてくれないかな」
「…お兄ちゃん」

「お兄ちゃん? お兄ちゃんとふたりで来たの?」

「うん、あのね、奈々があたらしい野球場が見たいっていったの。
  そしたらお兄ちゃんが、じゃあつれてってやるぞーって、つれてきてくれたの」

 奈々が、たどたどしく説明してくれた。

「マツダスタジアムの事かしら」

「あたりまえだろ。よし、じゃあ奈々ちゃん。
   お兄ちゃんを探しに、みんなで野球場まで行ってみようか」

「うん!」

                       

           つづく・・・・    (1月14日 更新予定)

                
原作  M・B
     S・K
     R・S

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

開局35周年記念スペシャル
開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
2010 冬編
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石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
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NATSUGOYA編
NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12