2010.3.18(木)  S t o r y : 33

「ん? なにか言ったか?」

歩幅が大きいぶんだけ先を歩いていた隼人が、
ユイの独り言に振り返る。

ユイはあわてて、なんでもないと顔の前で手をふっている。

「あっ、このお店、見たい!」

ショーウィンドウの前で足をとめる。
ガラスのむこうには、春らしく色鮮やかな装いをしたマネキンが
並んでいる。

「もう春かぁ」

ワンピースのマネキンを見て、隼人が言う。

「春だねぇ。いいな~ぁ、このワンピース」

マネキンに目をうばわれているユイに、
隼人がニヤリと口元を引き上げる。

「じゃあ、初めてのデートは、この服に決まりだな」

「えっ!」

ユイがウィンドウから顔をふりむけると、
隼人はいたずらっぽく笑っていた。

ユイをからかうのが、すこぶる楽しそうだ。

「隼人くんっ」

ユイは、バシッと隼人の腕をひっぱたいた。

勘のいい隼人のことだ。
ユイの頭の中のモヤモヤなんて、お見通しなのかもしれない。

もしかして、何もかもわかっていて、面白がっているのだろうか。

「いじわるぅ」

「ごめん、ごめん」

 口をとがらせるユイのほっぺたを、隼人が笑いながらつつく。

「あれ、山岸じゃないか?」

徹に肩をたたかれて、
加奈子は陳列棚の陰から向かいの店を伺った。

たしかにユイだ。

「となりにいるのは、鷹西先輩だよな? 
二人で何してるんだろ?」

徹が声をひそめながら、加奈子の視線に合わせて腰をかがめる。

べつに隠れることもないけど、なんだか見つかっては、
あの二人にいけないような気がしたのだ。

「まさか、デート?」

 徹の言葉に、加奈子は冷静な口ぶりで言い返す。 

「はぁ? そんなわけないじゃん。
ユイが好きなのは夏川くんだもん」

「だよなぁ。でも、ここに准汰がいなくて良かったな。
                 アレ見たら、絶対へこむ」

「だよねぇ」

二人は顔を見合わせて、ふたたびユイたちの方へ視線をのばした。

ときおり、じゃれるようなしぐさで笑い合ってる様子は、
すごく親しげで楽しそうだ。

こんな二人を見たら、ヘタレの准汰じゃなくても落ちこむ
に決まっている。

「一応、何してるのか聞いてみようか」

そう言うなり、加奈子が携帯を取り出してメールを打った。

         つづく・・・・ (3月25日 更新予定)

                
原作  M・B
     S・K
     R・S

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

2011 夏編
2011 夏編
再生する
35周年 秋編
35周年 秋編
再生する
35周年 恋夜空編
35周年 恋夜空編
再生する
開局35周年記念スペシャル
開局35周年記念スペシャル
再生する
2010 冬編
2010 冬編
再生する
石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
再生する
NATSUGOYA編
NATSUGOYA編
再生する
♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12