2010.3.31(水)  S t o r y : 35

そして、ユイの頭の中に、あるシーンが蘇ってきた。
それは一年まえの夏、

鯉宮館高校のグラウンドで行われた練習試合だった。

この学校は県下有数の進学校でありながら、甲子園の常連校だ。

その野球部で一年生から早くもレギュラーポジションを
獲得したのが、ユイの幼なじみの鷹西隼人である。

ユイはこの高校を志望校の一つにしていたから、
志望校見学のオープンスクールで校内の施設
を見てまわったり、説明会にも参加した。

だけど、

もともと安芸藩の藩校で男子校だったせいか、
なんとなく雰囲気が堅苦しそうで、
「どうも自分の通う学校じゃないかなーぁ」
と、ユイの気持ちは揺らいでいた。

そんなとき、
「あした鯉宮館に来るんなら、舟入商業と練習試合してるから、
観戦しろよ」
とユイは鷹西隼人から声をかけられたのだ。

そんなわけで、その日ユイは、
(ちょっとグラウンド、のぞいてみよ……)

校舎と体育館のあいだを抜けて、グラウンドへと足をむけた。

 八月だというのにその日はなんだか肌寒くて、
空は青いつやをうしない、
朝から雨が降ったり止んだりしていた。
「わぁ、ひろーい」

ユイは目をまん丸にして見わたしている。
鯉宮館のグラウンドは、
野球場とサッカー場が2面ずつ取れそうなほどの広さだった。
その北側で、鯉宮館と舟入商業の練習試合は行われていた。

「一回でも、隼人さんの打席を見なきゃ」

ユイは一塁がわのベンチのほうへ急いだ。

この日、なぜかコンタクトレンズが目にしっくり馴染まなくて、
ユイはメガネをかけてオープンスクールに参加していた。

隼人に見られたら、あとでメガネの顔を茶化されそうなので、
メガネは校舎を出たときに外していた。

だから一塁側で見物しているユイは、
右目0.1、左目0.2の視力で隼人を探そうとしていた。

試合はすでに9回裏、3対3の同点で、
   ツーアウトランナー2塁だ。一打サヨナラのチャンスだ。

そしてまさにこのとき、鷹西隼人が
左バッターボックスに立つところだった。

  つづく・・・・ (4月8日 更新予定)

                
原作  M・B
     S・K
     R・S

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

2011 夏編
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12