2010.4.8(木)  S t o r y : 36

バッターの輪郭はぼやけている。
        バットをかまえた体ぜんたいが、
     かげろうみたいに揺らいでいる。 
                 
でもユイは確信していた。

隼人を見つめるユイは、見えているというより、
 幼稚園のときから一緒に遊んできた隼人の、
     オーラのようなものを心の目で感じているのだった。

(やっぱり、ここだけはしっかり見なきゃ)

ユイは思った。真剣勝負にのぞむ隼人の打撃フォームなのだ。
  しっかり目に焼きつけておかなきゃ。

 そこでユイはバッグの中からメガネを取り出そうとして、
              一瞬グラウンドから視線を外した。
まさにそのときだった。

          「カキューン!」

隼人の金属バットがボールをとらえた。
  高校野球のボールはプロと同じ硬球だ。

 かるいキャッチボールでさえ、取りそこねて口に当たれば、
    歯が折れてしまうほどだ。

まして鷹西隼人が真芯で捉えた弾丸ライナーだ。

音に気づいて視線をむけたユイの顔面に、
   もはや避けようもない、火を噴くような打球が……。

その瞬間、ユイの目の前に白い影がよぎった。

  「ズドッ! バタッ!」

       にぶい音とともにユイも地べたに倒れた。

どれほどか過ぎて……。

「だいじょうぶ?」

やさしく呼びかける声で、山岸ユイは目を覚ました。
   白衣の女の人が、笑顔でユイをのぞきこんでいた。

どうやらここは保健室らしい。
   「ああ、よかった。気がついたのね」

どうして自分はいま、保健室のベッドに
              寝かされているんだろう。

「あなたには、ボールは当たってないのよ。
      きっと、飛んできたボールの怖さで気を失ったのね」

それを聞いて、とっさに全てがわかった。

「ほんとうなら、まともに打球が顔面を直撃してたそうよ」

「どうしてわたし、助かったんですか?」 

  と問いかけるユイに、白衣の先生は笑いのまじった声で、

「すごい子がいるもんね。
     あなたを直撃しそうになったファウルボールを、
   ヘディングしたサッカー少年がいたんだって。
           あなたと同じ中学3年生だそうよ」

(そうか。私を助けてくれた人がいたんだ)

         つづく・・・・ (4月15日 更新予定)

                
原作  M・B
     S・K
     R・S

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

2011 夏編
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35周年 秋編
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35周年 恋夜空編
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開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
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石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12