2010.4.22(木)  S t o r y : 38

そのころ夏川准汰は、
実が丘中学のグラウンドでフリーキックの練習にはげんでいた。

朝から鯉宮館高校でのトレセンに参加し、
そのあと野球部の練習試合を見て、実が丘中学に帰ってきたのだ。

このトレセンとよばれる合同練習会で実力を認められた選手たちは、

さらに県選抜、中国地方選抜、日本代表へと
                 ステップアップしていく。

 フリーキックが思うように決まらない准汰に、
  バスケット部の赤沢徹が声をかけてきた。

「よう准汰。洋介が言ってたけど、おまえトレセンで、
           すごいヘディング決めたらしいな」

 おでこの傷に手をのばした徹から顔をひきつつ、

「ああ、そうだよ。洋介のおしゃべりめ」

准汰は苦笑まじりで言ってる。

「女の子を助けるために弾丸ライナーにヘディングなんて、
漫画級のアンビリーバボーなプレーじゃないか」

「まともにヘッドなんて、しねぇよ。
  ちょっとかすらせて角度を変えるのが、テクニックなんだよ」

「うっそぉ! そんなテクニックあんの?」

徹が目をぱちくりさせて聞きかえした。

「プロなら常識さ。高校サッカーでも、よくやるぜ。
 世界クラスなら、かすらせてキーパー逆サイドのゴール隅に
  ピンポイントで狙うなんてこともあるんだから」

        と、准汰がついつい調子にのりだす。

足技にはまあ自信のある准汰だけど、
  ヘディングでそんな高度な技などできるわけがなかった。

ましてやサッカーボールよりもまるで小さい硬球の弾丸ライナー。

 「助けなきゃ」と思ったときには横っ飛びにジャンプしていた。

手ではなく頭が出てしまったのは
     サッカー選手の本能だったのだろうか?

浅い角度で当たったとはいえ、かすり傷ですんだのは、
首に巻いていたスポーツタオルがちょうど頭とボールの間に入り、
ショックを和らげたのだ。

本当に奇跡的と言える。
   かすらせたなんて、偶然もいいとこだ。

 准汰はそれほど痛くはなかったが、

     「いてぇ!」 
              と大声をあげたやつがいた。

角度が変わったボールはグランド脇のネットの支柱に跳ねかえり、
いっしょにトレセンに参加していた森田洋介の頭に当たってし
まったのだ。

偶然がふたつ重なるなんて……

そんなわけで、洋介のほうがタンコブを作ってしまった。

              つづく・・・・ (4月30日 更新予定)

                
原作  M・B
     S・K
     R・S

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

2011 夏編
2011 夏編
再生する
35周年 秋編
35周年 秋編
再生する
35周年 恋夜空編
35周年 恋夜空編
再生する
開局35周年記念スペシャル
開局35周年記念スペシャル
再生する
2010 冬編
2010 冬編
再生する
石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
再生する
NATSUGOYA編
NATSUGOYA編
再生する
♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12