2010.4.30(金)  S t o r y : 39

准汰と徹が話しているところへ洋介がやってきた。

「よう徹、おまえもお好み焼き食べにいくか。
           きょうは准汰がおごってくれるぞ」

 とつぜんのフリに、准汰の顔つきが変わった。

「なんでオレがおまえらに、
        お好み焼きをおごらなきゃいけないんだよ」

            いどむような声で言いかえしている。

洋介はあたりまえだと言わんばかりに、

「今回のさわぎで一番の被害者はオレでぇ。
 頭蓋骨カンボツの重傷を負ったのに、
 頭に冷却スプレーかけられただけでおしまい。
 鯉宮館の恐い選手に囲まれたら
          、大丈夫ですとしか言えないでしょ」

「カンボツなのに、なんで盛り上がってるんだ?」

   徹がおどけた表情で、洋介のタンコブにふれた。

「いたーい! さわるなっ」

その手を払いのけ、洋介がさらにいいたてる。

「それにくらべ、おまえはあの山岸ユイを
 助けた白馬の王子さまでしょ。おとなしくて派手さはないけど、可愛くて気が利いてて、
  人気ナンバーワンのユイちゃんは、まちがいなくおまえにホレるだろ!」

白馬の王子みたいな心境ではなかったが、
 准汰の心のかたすみに山岸ユイが居すわったのは確かだ。

「損な役まわりをひきうけてやったんだから、
  この哀れな道化におごれ。ついでに徹にも」

そんなわけでお腹はいっぱい、サイフは空っぽになって、
 准汰は家に帰ってきた。風呂から出てベッドに寝ころがると、
きょうのハプニングを思い返した。

(トレセンを終えて、甲子園常連校同士の試合を
              洋介たちと見ていたオレは……)

ライト側からこっちへ近づいてくる山岸ユイが目にとまった。
メガネをかけたユイを見たのは、はじめてだった。

一打サヨナラのチャンスだから、准汰はすぐに視線を戻した。
ピッチャーが投球動作に入った瞬間、バッターの打球が、
(……こっちに来るんじゃないかな)

そんな気がした。
(絶対、こっちに来る!)
その勘が確信に変わった。
これはもう、野生の勘としかいいようがない。
そのあとは考えた行動ではなかった。
         気づいたときには全てが終わっていた。

山岸ユイ。

ルックスの可愛さは、たしかに2年の頃から
気にはなっていた。いっしょのクラスになったことはないけど、
廊下で目にしたときなど、
いつも表情のどこかに笑みがかくれているような女の子だ。

男子のあいだでは、ひかえめで人の悪口は言わず、
あたりまえのように困った人に手をさしのべる、
そんなやさしい子だと評判だった。

准汰自身も見たことがある。
廊下に落ちていたゴミを迷いもなく拾いあげて、自然にゴミ箱にいれるところを。
ゴミがあっても、誰かが拾うだろうって、
ほったらかしの光景しか見て来なかった准汰には
その姿が、妙にまぶしかった。

それは彼女の内面からにじみでるまぶしさだけど、
准汰の年令では、そこまでは気づいてはいない。

(ユイを助けたい! と思った瞬間、
  心と体が同時に動いてたんだ……ユイを助けたい一心で……)

 でもオレ、いま思い返しながら、事実を色濃く作り変えてる?

              つづく・・・・ (5月6日 更新予定)

                
原作  M・B
     S・K
     R・S

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

2011 夏編
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35周年 秋編
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35周年 恋夜空編
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開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
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石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12