2010.7.1(木)  S t o r y : 48

その日は夜も遅かったので語りつくすことも出来なくて、
ユイは家に帰った。
隼人が玄関まで送ってくれた。

「おやすみ隼人くん。送ってくれてありがとう」

「おやすみ。話、聞いてくれてありがとな」

たがいにすっきりしない気持ちを抱えたまま、二人は背を向けた。

ユイは家に入るとすぐさま部屋に駈けこみ、ベッドに寝ころがった。

「ケーキ食べないの?」

 香織が声をかけてきたけど、とても食べる気にはなれなかった。

あれだけ楽しみにしていたのに、
いまは冷蔵庫に入っているはずのケーキもまったく気にならない。

頭の中は隼人と詩織のことでいっぱいだった。

「彼女ができたんだ」
と隼人に教えてもらったとき、
ユイは自分のことのように嬉しかった。
幼なじみを取られてしまったような、そんなさみしさがなかったわけじゃないけど、
それを上回る嬉しさがあった。

隼人と詩織はすごく仲が良くて、すごく好きあっていて、
ユイはそんな二人に憧れを抱いていた。

そしていつか自分に恋人ができたら、あんな
ふうになりたいと、ずっと思っていた。 

「あ、メール」

ほったらかしだった携帯を開くと、いつのまにか新着メールが届いていた。

「夏川くんだ……」

いそいでボタンを押す。隼人の家に行く前に送ったメールの返事だった。
どきどきしながらメールを開く。

『返事が遅くなってごめん! 練習が長引いちゃって。
日曜なら大丈夫だよ』

ユイは何度も何度も、准汰からのメールを読み返した。
さっきまでの沈んだ気分が、すこしだけ明るい色に染まっていく。

『ほんと! 嬉しいな(*^v^*)でも
今日はもう遅いから明日またメールするね。おやすみなさい』

もう日付が変わりそうな時間なので、ユイは簡単な言葉を送った。

そしたら准汰から、たちまち返事がきた。

『わかった。おやすみ!』

ユイはしばらく、その短い文面を見つめていた。

つづく・・・・(7月8日 更新予定)

                
原作  清丘めぐみ
     小川 菜央
     田原麻衣子

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

開局35周年記念スペシャル
開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
2010 冬編
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石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12