2010.7.15(木)  S t o r y : 50

「山岸は」
「夏川くんは」 何したい? と互いに問いかけた声が、かぶってしまった。
そこで二人とも笑ってしまった。

声を出して笑ったことで、緊張が小さなしみのように薄れていく。

(すべり出しは、ま、こんなもんか)

なんて思いつつ、准汰はユイに言った。

「今日は、お互いのやりたいことに付き合うことにしよう」
「そうだね。それがいいね」
「遠慮のしあいは、なしでな!」
「うん!」

 やっと会話が行き交いだし、二人は足どりもかるく本通りの方へ歩いて行く。

まずユイがファッションビルの前でたちどまり、

「私、服を見たいんだけど、いいかな」
「うん、いいよ」 
二人で店内にふみこむ。
 冷房がかかっていて、ほてった頬が冷やされて気持ちがいい。

「涼しいね」

ユイのほっぺたは朝から熱っぽかった。
気になる男子と二人っきりで出かけるなんて、
ドキドキしないわけがない。

ほっぺたの熱はそのせいだかどうだか知らないけど、
これ以上熱くなっても困るため、ユイは冷房に感謝した。

 エスカレーターでのぼっていると、各フロアごとに違う感じの
服が並んでいた。男物ばかりの階もあり、  

「夏川くんも見る?」
  ユイが聞いたら、

「いや、おれはいいよ」

と、あかるい表情のまま言い返された。

 准汰は、尽きないユイのファッショントークに押され気味だった。
でも、そんなユイのおしゃべりが耳に心地よい。

「チュニックもいいなって思うんだけど、どうしようかな」

(チュニックって何だろう。まーた、分からない言葉が飛び出したぞ)
  准汰が思っていると、
「ごめんね。私ばっかり話してた」
「いや、ちっともかまわないよ。むしろ」
「むしろ?」
「俺、ファッションには詳しくないから、すげー勉強になるよ」
「ほんとう?」
「うん。で、チュニックって何?」
「チュニックっていうのはね……あ、あれだよ」

カジュアルで明るい色の服が目につく階で、ユイがエスカレーターからおりる。
ユイの指さすほうにあるのは、オレンジ色が綺麗な短めの
ワンピースのようだった。
「これ、ワンピースとは違うの?」
  准汰は言ってる。

「ワンピースよりも短めなのかな」
「レギンスも分かんないんだよな。スパッツと何が違うんだろう」
「確かに、違いを説明しろって言われてもできないかも」

どうでもいいような話だけど、
なぜかすごく楽しくなってきて、二人で笑い合った。

つづく・・・・(7月22日 更新予定)

                
原作  清丘めぐみ
     小川 菜央
     田原麻衣子

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

2011 夏編
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35周年 秋編
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35周年 恋夜空編
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開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
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石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12