2010.8.26(木)  S t o r y : 56

花火大会の当日、ユイは朝から大忙しだった。
去年の夏祭りに着た浴衣を探したのに、見つからないのだ。
洋服タンスの衣類を調べていると、

「ほんとにあんたって子は。どうして、もっと早くから言わないの」

洗濯物を取り込んだ母親が、苦笑まじりに叱っている。

「だってぇ、めったに着ることないし」

「どこにしまったのかしらねぇ」

せっぱ詰まっているユイをそっちのけに、
母はのんきな口ぶりで言って洗濯物をたたみ始めた。

「ここにもない。もーう、どこだろう」

こんなことなら昨日のうちに探しておけばよかったと、ユイは後悔した。
自分の部屋はもちろん、一階の押し入れも徹底的に探したけど、
それでも見つからない。
家じゅう引っかき回して、さすがにくたびれた。
(どうしても、あの浴衣を今日の花火大会に着て行きたいのに)

それは、薄いピンクの生地に赤い金魚がプリントしてある浴衣だ。
ちょっと幼い感じがするけど、ユイにぴったりだと、みんなほめてくれた。

「ん?」

洋服タンスの奥に箱があるのを見つけた。

いろんな服の陰になっていて、はじめに探したときは
見つけることが出来なかったのだ。

「おねがい。この箱の中に金魚ちゃんが、いますように」
祈るような気持ちで、ユイが箱を開ける。
「あった!」
やっと見つけた。取りだして広げてみる。

うーん、やっぱりこの浴衣でなきゃ。

准汰との約束の時間は17時なので、これで
花火大会に間に合うとユイが安堵していると、
携帯が鳴った。着信は准汰だ。

(花火大会まではまだ時間があるのに、どうしたんだろ)
と思いつつ電話を耳にあてる。
「もしもし」

『あ、俺だけど、今いい?』

「うん。どうしたの?」

准汰の声の調子が、ちょっと変だ。

                          
                           
                           
                             

つづく・・・・(9月2日 更新予定)

                
原作  清丘めぐみ
     小川 菜央
     田原麻衣子

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい) 16歳(高1)

広島市内の県立出澪(でみお)高校に通う女の子、クラブは軽音楽部。


(なつかわ じゅんた) 16歳(高1)

広島市内の中学校で山岸ユイと同じクラスだったが、サッカーに専念するためユイとは違う学校に進学。

2011 夏編
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35周年 秋編
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35周年 恋夜空編
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開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
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石井杏奈着うたPR
秋編(石井杏奈着うたPR)
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12