2012.1.26(木)  Story  037

「ね、いいじゃん」

  隼人は詩織の荷物をサッと持ち上げると歩き出した。

「うわ、重っ、なにが入ってんのこれ」

「えっと、これはね」

 詩織は丁寧に、さっきと同じ説明を隼人にもした。

それをきっかけに、よく3人で遊ぶようになった。

詩織の塾帰りを待っては、ゲーセンに行くのだ。

 そして十月に入ったある日、とつぜん隼人から話があると言われた。
詩織も受験勉強に重きを置き始めていて、遊べるのも2.3週間に
1度というペースになっていた。

公園のすべり台の上に座って、棒アイスをかじる眞紀。

そのとなりで隼人はカップのアイスを端からすくって食べている。

十月上旬の日差しは、動けば汗をかかせてはくれるが、
アイスを食べ終わる頃には若干の肌寒さを覚えさせた。

「俺もさ、してみようかなって思う。高校受験っていうの」
すべり台の脇にのびる大きな木を見つめながら、隼人が言った。

「は? お前、まじ」

  突然のことに、眞紀は返答に困った。

「詩織ちゃんがさ、勉強頑張ってるの見て、
なんか俺も、頑張ってみようかなって思って」

「え、詩織……」

  眞紀は嫌な予感がしたが、その予感はすぐに現実になった。

「俺さ、詩織ちゃんのこと好きだ。同じ塾に通って、
同じ高校を目指そうかな、なんて。俺、女々しいかな」

 その声にはちっとも女々しさを感じない意志の強さがうかがえた。

「そっか」

 眞紀はいよいよ言葉をなくした。

 それから隼人は詩織と同じ塾に通いはじめ、
3人で遊ぶことはおろか2人で遊ぶことすらもなくなった。
眞紀は親に頼んで安いエレキギターを買ってもらい、先輩に教えてもらった。

ひとりのときは、何かを振り払うかのようにギターの練習に時間を費やした。
それでも隼人は定期的に眞紀に連絡を取って、勝手に近況報告などをしてきた。

けっきょく隼人は第一志望の高校に入れたものの、
詩織は滑り止めで受けた高校に入ることになってしまった。

そこでたまたま眞紀と同じ高校になったのだ。

眞紀が少し期待したのもつかの間、高校入学と同時に、
隼人と詩織は付き合い始めたのだ。

                つづく・・・・  (2月2日 更新予定)

原作   しおん真未
      高田 環央
      長岡 英里
      早川 未来

協力 比治山大学現代文化学部 

監修 吉本直志郎

 
(やまぎし ゆい)

不動院大学1年生。現代文化学部言語文化学科。
大学に入ってサークル、バンド活動はしていないが、ライブハウスでアルバイトをしている。


(なつかわ じゅんた)

不動院大学1年生。短期学部幼児教育学科。
教育系の職に就くため短大の方へ。
相変わらずサッカーを続けている(ポジションはMF)。
忙しくてユイにかまうことができない。

2011 夏編
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35周年 秋編
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35周年 恋夜空編
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開局35周年記念スペシャル
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2010 冬編
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秋編(石井杏奈着うたPR)
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NATSUGOYA編
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♪「がんばるけん~」
 作詞:石井杏奈 & tetsuhiko
 作曲:tetsuhiko
 石井杏奈(いしいあんな)
 スターダスト音楽出版所属
 アクターズスクール広島9期生
 Birthday : 1994.02.12